股関節痛において、もっとも重要なポイントになるのはその痛みが関節内のものか関節外のものか、
関節内なら関節を成す、骨盤骨関節臼蓋窩と大腿骨股関節骨頭のズレによる関節軟骨や関節唇、関節包靭帯内側の軟部組織の外傷性炎症等、いわゆる関節炎に起因するもの。
関節外なら関節包周辺の筋、殿筋群や梨状筋など股関節大腿骨に起始を持つ筋の損傷や筋膜の高密度化によるテンションバランスの崩れから、また恥骨肢に起始する恥骨筋、大腿骨内転筋群の損傷や、大腿筋膜張筋と中殿筋のインバランス、主に筋筋膜性痛に起因するもの、となります。
そこに加えて、立位及び歩行に伴なう痛みに対しては、体幹を支える支持機構としての股関節は常に足部と連動しており、足関節(特に距腿関節)の位置覚(関節覚)による姿勢の制御が及ぼす影響により股関節痛を発生させることもあります。(歩行及び姿勢保持に関するストラテジー理論)
さらに先天性股関節脱臼や出産時に分娩時股関節脱臼を起こしていて、器質的なものも残念ながら要因となり得ます。
当院では、先天性だとしても今まで生きてきた中で獲得したカラダが痛みを感じずに生きていける場所を経験で理解していてその位置へ代償する様ないわゆる歪みを、股関節だけではなく股関節を含む骨盤から下肢帯ユニットとしての足部、足底の接地感や感覚神経の正常化、足関節と股関節との連動性、歩行時や外乱に対抗するストラテジー獲得、など念頭において正しいアライメント矯正を行います。局所的な対症療法ではなく根本的な広範に影響を及ぼすバランス矯正を行うことにより、実際には代償動作で生きて行くよりも楽なカラダへとなり得る最大限正常に近い使い方ができるように治療していきます。